自己破産

自己破産

裁判所を通して生活必需品を除く全財産を換価し、債権者に公平に分配したうえ、残った債務を免除(免責)してもらう手続です。
破産の申立ては債権者もできますが、債務者が申し立てる破産を特に「自己破産」と呼びます。自分の財産を全て開示し、支払不能であると裁判所から認めてもらった上で借金をゼロにしてもらう制度ですから、債務整理の最終手段と言えます。
支払いが不可能だと自分で思っていても、債権者から取引の明細を取り寄せ、利息制限法に基づいて計算し直せば、債務額が減る可能性があるため、他の手段を考えることもできます。


同時廃止事件と管財事件

同時廃止事件とは

債務者の財産を換価しても、債権者への配当、管財人の報酬などの費用の支払いが見込めないと裁判所が判断した場合は、破産手続の開始決定と同時に、手続廃止の決定がなされます。これを「同時廃止」と呼びます。現状では、個人の破産申立事件のほとんどがこの「同時廃止事件」となっています。

管財事件とは

破産手続では、手続の開始決定と同時に債務者の財産管理人(破産管財人といいます)が選任し、財産の売却や債権者への配当を行います。このように破産管財人を選任する手続を「管財事件」といいます。
債権者への配当の引き当てとなる申立人の財産を「破産財団」と呼びます。
東京地裁、横浜地裁の管轄内では「少額管財」と呼ばれる手続の種類があります。「少額管財」では、破産管財人を選任し、債務者の負債の状況や財産について調査をします。債権者に配当するほど財産がないと見なした場合には破産手続を終了します。
普通管財事件よりも裁判所に納める予納金が低額で、次に説明する「同時廃止」よりは債務者の財産や負債の状況を細かく調査を必要とする場合に利用される手続です。


同時廃止・管財の違い

一般的に、債務者の財産で債権者へ配当できるかどうかが両者をわけるポイントとなります。しかし、借金の大半がギャンブルを理由としたものであったり、債権者を騙して借金をしたことがあるなどの事由があると、財産がなくても管財事件として手続が進められることがあります。
また、同時廃止と管財事件では、破産申立の際に裁判所に納める予納金の金額が異なります。管財事件は、下記のとおり同時廃止の費用に加えて、配当実施の費用や破産管財人の報酬が発生するため、最低50万円(少額管財では20万円)を納める必要があります。
予納金郵便切手
同時廃止1万~2万円数千円
管財事件1万~2万円プラス最低20万円以上
(管轄裁判所によって変動あり)
数千円


同時廃止事件の流れ


ここでは、東京地方裁判所における同時廃止の流れをご説明します。なお、裁判所によって若干スケジュールが異なりますので、ご了承下さい。

受託・債権調査

債権者から取引履歴を取り寄せ、利息制限法による引き直しをおこないます。
引き直し後の債務から、他の解決方法も探しながら、自己破産の手続きが当てはまれば、申立書類の作成等準備に入ります。

書類の準備・作成

次の資料などをご提出して頂き、書類を作成いたします。
  1. 住民票、課税証明書などの役所で取得する書類
  2. 通帳のコピー、給与明細など財産がわかる書類
  3. 1ヶ月の家計簿
また、事務所にお越しいただき、借り入れ当初から、返済が滞る時期までの経緯を伺います。

裁判所に破産手続申立て

(約1ヶ月)

破産審尋

裁判官が申立人から事情を聴取します。
提出した申立書について補充的な質問をするものです。

破産手続開始決定

同時廃止・官報に掲載

(約1~2ヶ月)

免責審尋

再び裁判官と面談します。

免責許可決定

免責を受けて初めて借金が免除されます。(2~4ヶ月)
事務所にお越しいただくのは、最初の面談を含め2~3回程度です。
また裁判所から、追加で書類の提出や説明を求められたときは、その都度お電話でご連絡するか、お越しいただくことになります。