個人再生とは

個人再生

個人再生は裁判所の認可のもと、任意整理又は特定調停では難しい元金の大幅な減額が可能(住宅ローンを除く)であり、自己破産と異なりマイホームを残すことも条件に合えば可能な手続きです。
また、自己破産のように職業・資格によっては就職制限や欠格事由とされてしまうのに対し、個人再生にはそのような制限はありません。

この個人再生手続きは借金総額(住宅ローンを除いて)が5000万円以下で、将来において継続してまたは反復して収入を得る見込みがある個人が利用することができます。



小規模個人再生と給与所得者等再生


個人再生には、「小規模個人再生」「給与所得者等再生」があり、どちらで申立てをするかによって返済総額が異なってきます。
小規模個人再生の場合は、「最低弁済額」と「清算価値」のいずれか高い金額を、給与所得者等再生は、「最低弁済額」と「可処分所得」と「清算価値」で、最も高い金額を、原則3年間で支払っていくこととなります。
小規模個人再生は、本来個人事業者向けに創設されたものでしたが、会社員等の給与所得者でも利用することができ、給与所得者等再生を利用するよりも返済総額を低額に抑えることができるため、実際にはほとんどのケースで小規模個人再生が利用されます。

当事務所での申立割合も9割が小規模個人再生です。
・「可処分所得」
過去2年の収入を参考に、政令で定める計算基準によって1年間の可処分金額(収入から住居費等を控除した額)を算出し、その額を2倍した金額のことです。
・「清算価値」
資産の総額のことです。自己破産であれば車や高級品、生命保険の積立金等を処分する必要がある場合もありますが、個人再生の場合は、最低でも資産の総額以上を返済していくことで、処分することを免れることができるのです。これを清算価値保証といいます。

・「最低弁済額」
次表をご参照ください。
債務総額      最低弁済額     
①   100万円未満その金額
②   100万円~500万円未満100万円
③   500万円~1500万円未満1/5の金額
④   1500万円~3000万円以下300万円
⑤   3000万円超~5000万円1/10の金額

個人再生の流れ



受託・債権調査

債権者から取引履歴を取り寄せ、利息制限法による引き直しをおこないます。
引き直し後の債務から、他の解決方法も探しながら、個人再生手続きが当てはまれば、申立書類の作成等準備に入ります。

地方裁判所に申立

自分の住所地を管轄する地方裁判所に申立をします。

個人再生の開始決定

裁判所は、開始要件を満たし、書類に不備が無ければ、個人再生手続きの開始決定をします。

債権の届出、調査

債務者は債権者一覧表、財産目録を裁判所に提出します。債権者は再生手続きに参加するために、債権の届出をし、債権調査の手続きに入ります。

債権の確定、再生計画の作成

債務者は、債務と財産を確定させ、今後の返済計画である再生計画を作成します。

再生計画の決議、意見聴取

小規模個人再生では、再生計画案に同意するかどうかの債権者の決議を書面で行います。
給与所得者等個人再生では決議は行われず、債権者の意見を聞くにとどまります。

再生計画の認可

裁判所が再生計画の認可を決定し、確定により手続きは終了となります。
その後は、債務者が、再生計画に従って返済をしていくことになります。